和音には基本形と転回形があります。
これらはバスの音の違いによって、各々の形が区別されます。
和音の構成音の第3音がバスならば第1転回形、第5音がバスならば第2転回形です。
ハ長調の I の和音では次のようになります。
同じド・ミ・ソの和音でも、バスの音が変わると、それぞれ違った響きに聞こえてきます。
実際に音を鳴らして、その違いを確認して下さい。
和音においては基本形ばかりでなく、こうした転回形をうまく組み合わせて使うことによって音楽の流れを柔軟にします。
そういう意味で、転回形は和声にとっては、必要不可欠なものと言えます。
基本形のみと転回形を使ったものとで実際に比較してみましょう。
基本形のみで和音をつけると、
転回形を使用すると、
第3音をバスにおいた和音を第1転回形といいます。
第1転回形には次の4種類があります。( V/3、Y/3、Z/3 は使用しません。)
※DTH2では第1転回形を/3と表記します。(例 T/3 、U/3)
次の例題を解いて見ましょう。
上3声の構成音は第3音を省きます。
第3音は和音を決定づける重要な構成音です。
第1転回形は上3声にこの第3音があると、強調され、わずらわしく聴こえてきます。
第1転回形本来の軽くすっきりした響きにするためには、上3声から第3音を省く配置を取るのが一般的です。
この構成音をもとに和音を配置していきます。
クローズ配置とは上3声が1オクターブ未満で配置されたものです。(テノールからソプラノが1オクターブ未満)
オクターブ配置は上3声がちょうど1オクターブで収まる配置です。
オープン配置は上3声が1オクターブ以上の音域で配置されたものです。
ただし、次の配置は避けてください。
和音の響きが第1転回形は本来柔らかく、軽い響きが特徴ですが、この配置だと内声の ド の音が際立って聴こえ、全体に硬い響きになるので、これを避けた方がよいのです。
第1転回形には他に U/3 ・ W/3 ・ X/3 があります。